BitMEXの使い方|対応の注文方法編(指値/成行/ストップロス/利確/トレイリングストップ)
- 公開日:2018/05/15
- 更新日:2018/10/19
- 投稿者:n bit
BitMEXは数多くの注文方法に対応しています。それぞれの注文方法を組み合わせることで、より幅広い戦略を展開することができます。簡易的なチャート図も使いながら(指値/成行/ストップロス/利確/トレイリングストップ)それぞれの注文方法の特徴等について詳しく解説していきます。
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BitMEXが対応している注文方法
BitMEXが対応している取引の注文方法は数多くあります。まずはどのような注文方法が行えるのか解説していきます。
全部で7種類の注文方法を行うことができますが、基本は「指値」注文と「成行」注文で、残りの5つは「指値」注文と「成行」注文の応用版です。この2つは最初にしっかりと理解しておきましょう。
指値(リミットオーダー:Limit Order)
「指値」注文は価格と数量を指定して注文する方法です。希望した価格でポジションを取得(または売却)することができますので計画的にトレードを行う場合には向いていますが、手動で価格と数量を指定してから注文を発行する必要があるので値動きが激しい時などには急な注文が間に合わない可能性があります。
「指定の価格で買いたい、または、売りたい」と言った様に、しっかりと予定どおりにトレードを進めていく場合には有効です。
メリット
- 自分が希望した価格でポジションを取得(または売却)することができる
- 1取引にかかる手数料が「成行」注文よりも安い(指値:-0.025%、成行:0.075%)
- チャートに張り付いていなくても自分の希望価格で自動的に約定できる
- 瞬間的な暴落や暴騰による瞬間的な価格で約定できる可能性が高い
- 計画的にトレードを進めやすい
デメリット
- 流動性が少ない場合はなかなか注文が約定されない可能性がある
- 「成行」に比べ注文発行のタイムロスがある
注文を発行すると板(オーダーブック)に自分の注文が並びます。オーダーブックに自分の注文を作成することから「Maker(メーカー)」とも呼びます。
指値買い → 指値売り
指値買いは買いポジションを取得したい価格を指定します。
- チャートが希望通り推移した場合:青色点線
- チャートが希望通り推移しなかった場合:赤色点線
チャートが希望通り推移(青色点線)した場合、1の位置で指定通りの価格で買いポジションを取得し、2の位置で指定通りの価格で売りポジションによって利確します。希望通りにチャートが推移(赤色点線)しなかった場合は何も起こりません。
指値売り → 指値買い
指値売りは売りポジションを取得したい価格を指定します。
こちらは先ほどと逆の動きで、希望通りにチャートが推移(青色点線)した場合、1の位置で指定通りの価格で売りポジションを取得し、2の位置で指定通りの価格で買いポジションによって利確します。希望通りにチャートが推移(赤色点線)しなかった場合は何も起こりません。
どちらも特徴となるのは指定通りの価格でポジションを売買することです。
成行(マーケットオーダー:Market Order)
「成行」は注文したい数量のみを指定して既に板(オーダーブック)に上がっているオーダを指定数量に達するまで取得していく注文方法です。
指値注文に比べて購入価格が高くなってしまう傾向にあり、想定していた価格よりも大きめに外れた価格で約定してしまい思わぬロスが発生してしまう可能性があります。
「今の価格近辺ですぐに買いたい、または、売りたい」と言った場合には有効です。
メリット
- すぐに注文を発行できる
- すぐに注文を約定させることができる
- 流動性が少ない場合でも注文を約定させることができる
- 確実にポジションを取得(または売却)することができる
- 予想していなかったトレンドの変化などに対応しやすい
デメリット
- 1取引にかかる手数料が「指値」注文に比べて高い(指値:-0.025%、成行:0.075%)
- 注文価格が想定から大きめに外れる可能性がある
注文を発行するとオーダーブックから他の方の注文を取得します。オーダーブックから注文をとっていくので「Taker(テーカー)」とも呼びます。
成行買い → 成行売り
チャートが希望通り推移(青色点線)した場合、1の位置で板に出ているポジションを指定量になるまで価格の安いものから購入し買いポジションを取得します。
この時板に出ているポジション1つで指定量を超えないときは複数の板に並んでいるポジションを取得しにいくため最安価格よりも値段の高いポジションを随時取得していくことになります。
2の位置で売りポジションによって利確します。この時も同じく指定量に達するまで板に並んでいるポジションを取得しに行きますが、売りの場合は最高価格よりも安い値段のポジションを取得していくことになります。
成行注文は基本的に注文ボタンを押した瞬間に実行されますので現在価格よりも希望通りにチャートが推移(赤色点線)しなかった場合はそもそも注文を発行しないため何も起こりません。
成行売り → 成行買い
チャートが希望通り推移(青色点線)した場合、1の位置で板に出ているポジションを指定量になるまで価格の高いものから購入し売りポジションを取得します。
この時板に出ているポジション1つで指定量を超えないときは複数の板に並んでいるポジションを取得しにいくため最高価格よりも値段の安いポジションを随時取得していくことになります。
2の位置で買いポジションによって利確します。この時も同じく指定量に達するまで板に並んでいるポジションを取得しに行きますが、買いの場合は最安価格よりも高い値段のポジションを取得していくことになります。
希望通りにチャートが推移(赤色点線)しなかった場合は注文を発行しません。
特徴はどちらも売買時に価格の幅があることです。いずれも内側の線で売買された場合は指値注文に比べて利益の幅が小さくなります。
ストップ指値(ストップリミットオーダー:Stop Limit Order)
「ストップ指値」は名前の通り「指値」注文に「ストップ価格」と言うものが加わります。ストップ価格は注文を実際に発行する設定価格で、マーケットの価格がストップ価格に達するまでは注文として発行されません。
マーケットの価格がストップ価格に足した時に初めて設定した指値注文が発行されます。ストップ価格に達し指値注文が発行された後は通常の指値注文と同じ扱いとなります。通常は既に保有しているポジションの損切りに利用します。
「設定価格を超えたら、指定の価格で買いたい、または、売りたい」と言った場合には有効です。基本的にメリット・デメリットは指値注文によく似ています。
メリット
- トレンドが変化して設定価格を超えたときに自分が希望した価格でポジションを取得(または売却)することができる
- チャートに張り付いていなくてもトレンドの変化に合わせて自分の希望価格で自動的に約定できる
デメリット
- 流動性が少ない場合はなかなか注文が約定されない可能性がある
- トレンドの変化が大きく値動きが激しい場合は注文が約定されない可能性が高い
- ストップ価格と指値の値幅がある程度必要となる
ストップ指値売り
ストップ指値売りは、すでに買いポジションを保有しているときに利用します。先ほどまでとは矢印ラインの色が反転していることに注意してください。
- チャートが希望通り推移した場合:青色点線
- チャートが希望通り推移しなかった場合:赤色点線
と言う設定はそのままです。
チャートが希望通りに上へ上昇してくれれば良いのですが、希望しない方向として下向きにチャートが推移した場合は1の位置で指定したストップ価格に到達すれば2の位置に指値売り注文が発行されます。
図のように1の位置のストップ価格と指値注文が発行される2の位置には指値注文を約定させるため、ある程度の値幅が必要となります。
ストップ指値買い
ストップ指値買いは、すでに売りポジションを保有しているときに利用します。
チャートが希望通りに下へ下降してくれれば良いのですが、希望しない方向として上向きにチャートが推移した場合は1の位置で指定したストップ価格に到達すれば2の位置に指値買い注文が発行されます。
共通している特徴は希望しない方向へチャートが推移した場合に発行される指値注文です。そして、ストップ価格から少し値幅を置いたところに指値注文を発行します。
ストップ成行(ストップマーケットオーダー:Stop Market Order)
「ストップ成行」も名前の通り「成行」注文に「ストップ価格」が加わったものです。ストップ指値と同じようにマーケットの価格がストップ価格に達するまでは注文として発行されません。
ストップ指値との違いはマーケットの価格がストップ価格に達した時に成行注文として発行されますのでオーダーブックから他の方の注文を取得しすぐに約定されます。つまりストップ価格に達した後は通常の成行注文と同じ扱いです。
「設定価格を超えたら、今の価格近辺ですぐに買いたい、または、売りたい」と言った場合には有効です。こちらもメリット・デメリットは基本的に成行注文とよく似たものになります。
メリット
- トレンドが変化して設定価格を超えたときにすぐに注文を約定させることができる
- 流動性が少ない場合でも注文を約定させることができる
- チャートに張り付いていなくてもトレンドの変化に合わせて確実にポジションを取得(または売却)することができる
- ストップ価格と成行注文が実行される価格が同じ
デメリット
- トレンドの変化が大きく値動きが激しい場合は特に注文価格が想定から大きめに外れる可能性がある
ストップ注文の利用ケースと選び方
基本的にストップ注文を使うケースは2つあります。
- 1:トレンドが大きく動くときにトレンドに乗りたい(ポジションを取得する)
- 2:トレンドが想定とは逆の動きを見せたときに損切りしたい(ポジションを手放す)
1、2、いずれも急激なトレンドの変化を想定したものがほとんどです。そのためストップ指値注文では注文が約定されずトレンドに置いていかれる可能性が高いので、どちらかと言うとストップ成行を優先して使用されます。
特に2の損切り(ストップロス:Stop Loss)を行うときはとにかく早くポジションを手放したいですよね。急激なトレンドの変化が起こったときにポジションを手放すことができなかった場合は大きな損失を抱えることになります。そもそもの目的としては資産を守るために行っていますので確実にポジションを損切りすることができる「ストップ成行」をお勧めします。
ストップ成行売り
ストップ成行売りは、すでに買いポジションを保有しているときに利用します。
- チャートが希望通り推移した場合:青色点線
- チャートが希望通り推移しなかった場合:赤色点線
チャートが希望しない方向として下向きに推移した場合は1の位置で指定したストップ価格に到達すれば2の位置で成行売り注文が実行されます。
こちらの図でも1のストップ価格と2の成行売り注文の間に隙間がありますが、実際はストップ指値注文と違いストップ成行注文ではストップ価格に到達したと同時に成行注文が実行されます。
ストップ成行買い
ストップ成行買いは、すでに売りポジションを保有しているときに利用します。
チャートが希望しない方向として上向きに推移した場合は1の位置で指定したストップ価格に到達すれば2の位置で成行買い注文が実行されます。
希望しない方向へチャートが推移した場合に発行される成行注文ストップ価格と同時に成行注文が実行利食い指値(テイクプロフィットリミットオーダー:Take Profit Limit Order)
「利食い指値」注文は基本的にストップ指値注文と同じような考え方ですが、主に利確に利用します。利食い指値の場合は「トリガ価格」を設定し、マーケットの価格がトリガ価格に達した時に利確用の指値注文が発行されます。
「設定価格を超えたら、指定の価格で利確したい」と言った場合に有効です。
Note
トリガ
注文を発動するきっかけとなるもので「トリガ価格」や「トリガ」と呼ばれます。拳銃のトリガと同じで1つの処理(トリガが薬莢の後ろを叩く)がきっかけとなり次の処理(薬莢内の火薬が爆発し弾が発射)が発動することを指します。
1:ストップ価格に達する → 2:注文が発行される
「ストップ価格」も同じ役割を持っており、こちらも「トリガ」と呼ばれたりもします。
利食い指値売り
利食い指値売りは、すでに買いポジションを保有しているときに利用します。
- チャートが希望通り推移した場合:青色点線
- チャートが希望通り推移しなかった場合:赤色点線
チャートが希望通りに推移して上に上昇した場合は、1に指定したトリガ価格に達した時点で2の指値売り注文が入ります。
利食い指値買い
ストップ成行買いは、すでに売りポジションを保有しているときに利用します。
こちらも、チャートが希望通りに推移して下に推移した場合は、1に指定したトリガ価格に達した時点で2の指値売り注文が入ります。
共通している特徴は希望通りにチャートが推移し希望価格に到達したときに指値注文が発行されることです。
利食い成行(テイクプロフィットマーケットオーダー:Take Profit Market Order)
「利食い成行」注文も利食い指値注文と同じく主に利確に利用します。利食い成行の場合は「トリガ価格」を設定し、マーケットの価格がトリガ価格に達したと同時に成行注文が発行されすぐに約定されます。
「設定価格を超えたら、今の価格近辺ですぐに利確したい」と言った場合に有効です。
ストップ注文と利食い注文でややこしくなってきたと思いますので一度表にして整理しておきます。
BitMEX ストップ注文、利食い注文動作一覧表
表から見て分かるようにストップ注文と利食い注文は設定価格を超えたときの動作が逆になります。ストップ注文の買いポジションの時は設定価格を上に超えたときに発行されますが、利食い注文の買いポジションの時は設定価格を下に超えたときに注文が発行されます。
注文方法 | ポジション | 設定価格 |
---|---|---|
ストップ注文 | 売り | ストップ価格を下に超えたら発行 |
利食い注文 | 売り | トリガ価格を上に超えたら発行 |
ストップ注文: | 買い | ストップ価格を上に超えたら発行 |
利食い注文 | 買い | トリガ価格を下に超えたら発行 |
利食い成行売り
利食い成行売りは、すでに買いポジションを保有しているときに利用します。
- チャートが希望通り推移した場合:青色点線
- チャートが希望通り推移しなかった場合:赤色点線
チャートが希望通りに推移して上に上昇した場合は、1に指定したトリガ価格に達した時点で2の成行売り注文が入ります。
利食い成行買い
利食い成行買いは、すでに売りポジションを保有しているときに利用します。
こちらも、チャートが希望通り下に推移した場合は、1に指定したトリガ価格に達した時点で2の成行買い注文が入ります。
希望通りにチャートが推移し希望価格に到達したときに成行注文が発行されるトレイリングストップ
「トレーリングストップ」注文は少し動作がわかりにくいですが、理解しておくと利益を大きく伸ばしながらも手堅く損切りのラインもきっちり設定していくことができるのでとてもメリットが高い注文方法です。
注文時には「トレイル値」を設定します。トレイル値とはマーケットの最高価格(または、最低価格)からポジションを売買する価格までの幅を決めるものです。
例えば、現在「買いのポジション」を持っていてトレイル値を100に設定するとします。現在の最高価格が8,000ドルだとすると、「買いのポジション」を手放す価格はトレイル値の100を引いた7,900ドルになります。
\(マーケットの最高価格(または、最低価格)- トレイル値 = ポジションを手放す価格\)
ポジションを手放す価格にマーケット価格が下がる前に最高価格が切り上がった場合は、そこからトレイル値の100を引いた値に再度調整されますのでポジションを手放す価格が切り上がって行きます。1度切りやがったポジションを手放す価格が下がる事はありません。
- 青の実践ライン:マーケットの値動き
- 赤の点線ライン:損切り、または、利確のライン
- 黒の上下矢印:トレイル値
図の赤の点線ラインの様に、トレンドが伸び続ける限りポジションを手放す価格が切り上がっていき、最後価格から100ドル下がった時点(②)で自動的にポジションを手放します。利確の値を事前に決めずにトレードを行うためトレンドが伸び続ければそれだけ含み益もドンドンと大きくなります。
トレイリングストップ売りの場合はこれと全く逆の動きをします。
今日のdot
BitMEXでは多様な注文方法を使用することができます。また、それぞれの注文方法を組み合わせて利用することもできますので、手動の範囲でも幅広い戦略が実行できます。
一つ一つの注文方法をしっかりと理解しそれぞれのシーンに合う注文方法を活用することで損失を小さくし、利益を大きく伸ばすことが可能となります。