【考察】トークンの配当金はトークンエコノミーの成長と安定に重要
- 公開日:2018/03/27
- 更新日:2018/10/19
- 投稿者:n bit
今現在トークンの配当金は日本の法律上規制対象です。これはトークン購入者に対して返せる報酬が1つ減っただけと言う問題ではありません。これによって起こりうる傾向などを考えた場合、今後のトークンエコノミーの成長や発展にとっての妨げになると考えられます。今回はそのトークン配当金の問題について考察してみました。
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トークンエコノミーにおけるトークン配当金の問題点
現在日本の法律ではトークンの配当金は規制の対象になります。金融商品取引法上の第二項有価証券のうち、特に集団投資スキーム持分(同法2条2項5号)に該当する可能性があり、米証券取引委員会やシンガポール金融管理局等の複数の国の当局も証券(Securities)として規制される可能性について公表しています。
規制されていることは今後のトークンエコノミーの成長や発展においてとてもデメリットが大きいと考えます。最大の理由は価格変動が起こりやすく安定しにくいからです。
配当金での報酬が得られない場合、出資者たちは後々のトークンの値上がりと、そのトークンの売却から大きな収益を得ることになります。そのためトークンの単価がある程度まで上がるとどこかの時点で売りが発生すると想定されます。
成長する株式は売られにくい
マイクロソフトのような業績の良い企業で高配当の成長株を保有している出資者達は継続的に配当金が得られたため、一度購入した株をそう簡単に売ると言う心理が働きません。持っているだけでお金が増えていくからです。
そのため、株式の売却による値下がりが少なく、値上がりを続ける傾向になります。値上がり金額を見た既存のユーザは買い増しを検討したり、新しいユーザが購入者としてさらにその株式に入ってくるためプラスのサイクルが生まれ割と安定して右肩上がりに株式の値段が上がっていくからです。
成長するとトークンは売られやすい
しかし、配当金の制度が現在規制の対象になっている仮想通貨では株式と違いどこかの時点でトークンの売却が発生しやすくなります。特に大口の出資者の売りなどが発生すると暴落につながりかねません。
これは、トークン発行者のプロジェクトやサービスの評価とは関係なしに値段の上下が起きてしまうことを意味しています。この現象は株式でも起きますが、株式に比べてトークンの方が利益確定の面で起きやすいと想定されます。
会社の評価やプロジェクトの評価とは別の上下変動が大きくなりやすい傾向はトークンエコノミーの成長にとって、あまり好ましくありません。評価とは別の上下変動と言うよりも、むしろ逆に力が働きやすい矛盾した傾向ともいえます。企業やプロジェクト、サービスといったものの評価を上げれば上げるほどトークンの値段は上がりやすくなります。
しかし、それに反して利益を確定させたい人の売りはより発生しやすくなるということです。株式の時とは逆向きの方向に力が働きやすくなっていますよね。
このため今後トークンや、トークンエコノミーの仕組みが安定的に発展・成長を遂げていくためには、トークンエコノミーでの配当金制度は欠かせないように思います。
現段階では仮想通貨はクリプトカレンシーなのかクリプトアセットなのかといった議論が行われているような段階です。結局のところは通貨によって違うので両方あるとしか言いようがない気がしていますが、このような議論すらまだ終着点が明確になっていないため、トークンの配当についての議論はまだ先になりそうです。
トークンエコノミーの仕組みをいち早く導入していくためには、トークンの配当金に関する法整備や改革も早く進むことを願います。
今日のdot
トークンエコノミーにおけるトークン配当金規制対象の問題点は、「価格変動が起こりやすく安定しにくい」ことです。
配当金によって報酬が得られない出資者たちがトークンの売却によって利益を得ようとするためです。今後のトークンエコノミーの仕組みが安定的に発展・成長していくためにはいち早く配当金の法整備や改革を行いシステムに導入していくことが重要だと考えられます。
しかしながら、将来的にトークンの配当金が認められない場合、トークンエコノミーに未来がないのかと言えばそういうわけでもありません。実際に株式でも配当金がなくても株価が上昇続けている企業はあります。有名なものではアマゾンがそうでしょう。
アマゾンの様に、業界への参入障壁を引き上げ長期の優良企業になるための要因が揃っているような企業は株価が上昇しやすくなります。
- 事業規模が大きい
- 市場の占有率が圧倒的
- 構造的競争優位
- 太刀打ちできない無形資産
- ネットワーク効果
- ユーザや顧客にとって乗り換えコストが大きすぎる
安定的に成長するからです。
アマゾンの株価は言うまでもなく右肩上がりで成長を続けています。つまり、必ずしも配当金がないとダメだと言うことにはつながりません。
ただ、現在高配当のMicrosoftも創業以降は配当しない企業として知られていました。それが途中で高配当の企業に変わっていった経緯があります。アマゾンも同じように将来起こりえるかもしれない配当制度に対して投資を行っている人もいるでしょう。
投資家の心理や原理などを考えるといずれにせよ配当制度が導入されていた方が成長はしやすいと考えられます。
うーん、しかし法律って難しいですね。もっと本腰入れて学習しないと?が一杯です。