Pythonで単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】を算出する
- 公開日:2018/07/06
- 更新日:2018/10/19
- 投稿者:n bit
Pythonで単純移動平均値の算出や単純移動平均線の描画を行います。単純移動平均線を使ったトレードルールは容易に設定することができ、かつ、具体的な売買シグナルを出すことができるためbotなどの自動取引を行うプログラミングと非常に相性の良いテクニカル分析指標です。
この記事は約 分で読めます。(文字)
Pythonで単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】を算出
単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】はトレンドフォロー系のテクニカル分析指標です。現状のトレンドの見極めや、トレンド転換に対する売買シグナルなどを求めることができます。
単純移動平均線の詳しい概要や活用方法などを知りたい方は下記のページで解説していますのでご覧になってください。
単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】とは
チャートのテクニカル分析においてはかなりの頻度で利用されている単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】。単純移動平均線の特徴やその求め方、また、トレードにおいての活用法、現状のトレンドの見極め方などを解説しています。
単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】の計算式
移動平均とは、時系列データで算出時点からある期間の過去の直近データの平均値を求めたものになります。例えば1時間足で10期間の移動平均を求める場合、各ローソク足ごとに直近10時間分のデータを足し合わせて10 (10時間)で割ることで起点となったローソク足の移動平均値を求めることができます。
移動平均値の計算方法
- \(\displaystyle \frac{ 現時点の終値 + 1時間前の終値 + ・・・ + 9時間前の終値 }{ 10 }\)
ローソク足が1本ごと移るたび、移動平均の計算に利用される10本のローソク足も1つずつ移動していきます。算出期間が移動していく平均値の計算法と言う意味で『移動平均』と呼ばれていて、このような計算方法を『ローリング計算』とも呼びます。
- \(\displaystyle SMA_(t) = \frac{Close_(t)+Close_(t-1)+ ・・・ +Close_(t-n+1)}{n}\)
- \(SMA_(t)\):現時点の移動平均値
- \(Close\):終値
- \(t\):現時点
- \(n\):算出期間
この各ローソク足の移動平均値を線でつないでいくことで単純移動平均線を引くことができます。
Pyhonで単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】を計算する
Pythonで移動平均値を求めるときにいちいち計算式を書かなくてもローリング計算を行うための専用メソッドがpandasの中に用意されています。今回はpandasの『rolling』メソッドを利用します。
使い方は非常に簡単です。データフレーム形式のohlcvデータを、算出期間を引数に持った『rolling』メソッドで計算させます。ローリング計算の計算方法を平均にするため後に『mean()』をつけます。
sma = df_ohlcv['close'].rolling(10).mean()
『rolling』メソッドの引数に設定している『10』は算出期間です。『sma』には計算された『移動平均値』が返されます。
さすがpandas。とてもコードがシンプルですね。
Pyhonとmatplotlibで単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】を描画するソースコード
matplotlibを使って単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】を描画してみましょう。下記は単純移動平均線を描画する最低限のソースコードとなっています。
ソースコード
データフレーム『df_ohlcv』は、
- date:datetime形式の日時データ
- open:始値
- hight:高値
- low:安値
- close:終値
- volume:出来高
の値を持っています。
基本構造
#-*- coding:utf-8 -*-
import pandas as pd
import mpl_finance as mpf
from collections import OrderedDict
import matplotlib
import matplotlib.pyplot as plt
# 日時データをDataFrameのインデックスにする
df_ohlcv = df_ohlcv.set_index('date')
# 移動平均(SMA:Simple Moving Average)の算出(期間10)
df_sma = pd.DataFrame(OrderedDict({
'SMA10': df_ohlcv['close'].rolling(10).mean(),
}))
# 描画領域を作成
fig = plt.figure(figsize=(20,20))
ax = plt.subplot(1,1,1)
# チャート表示数にDataFrameをトリミング
df_ohlcv = df_ohlcv.iloc[-121:]
df_sma = df_sma.iloc[-121:]
# ロウソクチャートをプロット
mpf.candlestick2_ohlc(ax,
opens = df_ohlcv["open"],
highs = df_ohlcv["high"],
lows = df_ohlcv["low"],
closes = df_ohlcv["close"],
width = 0.8,
colorup = "#46AE74",
colordown = "#E4354A")
# x軸をdateにする
xdate = df_ohlcv.index
x_int_list = range(0, len(xdate), 6)
ax.set_xticks(x_int_list)
ax.set_xticklabels((xdate[int(x)].strftime('%d %H:%M') for x in x_int_list))
# グラフの両サイドをトリム
ax.set_xlim([-1, 121])
# 移動平均(SMA:Simple Moving Average)をプロット
df_sma.reset_index(inplace=True)
ax.plot(df_sma['SMA10'], color='Blue', linewidth='1.0', label='SMA10')
# x軸の整形
fig.autofmt_xdate(bottom=0.2, rotation=30, ha='right')
# グラフの描画
plt.show()
class版
こちらは上記の行動class化したものです。複雑に見えるかもしれませんがやっている事は上記の基本構造と同じ事しかやっていません。ohlcvの取得、SMAの計算、グラフへのプロットと言う3つの工程をそれぞれ関数に分けています。
現状はあまり汎用性の高い組み方ではありませんが、個別に関数化しているため使い回しはしやすいと思います。
from datetime import datetime as dt
import requests, pytz
import pandas as pd
import mpl_finance as mpf
from collections import OrderedDict
import matplotlib
import matplotlib.pyplot as plt
class TechnicalAnalysis:
def __init__(self):
# 初期設定
self.REQUESTS_URL = 'https://www.bitmex.com/api/udf/history?symbol=XBTUSD&resolution={t_res}&from={t_from}&to={t_to}'
def df_ohlcv(self, time_range=60, bar_no=500):
# ohlcvの取得
t_to = int(dt.now(pytz.utc).timestamp())
t_from = t_to - time_range * 60 * bar_no
row_ohlcv = requests.get(self.REQUESTS_URL.format(t_res=time_range, t_from=t_from, t_to=t_to))
json_ohlcv = row_ohlcv.json()
list_ohlcv = [list(ohlcv) for ohlcv in zip(json_ohlcv["t"], json_ohlcv["o"], json_ohlcv["h"], json_ohlcv["l"], json_ohlcv["c"], json_ohlcv["v"])]
df_ohlcv = pd.DataFrame(list_ohlcv, columns=["timestamp", "open", "high", "low", "close", "volume"])
# 日時データをDataFrameのインデックスにする
df_ohlcv["datetime"] = pd.to_datetime(df_ohlcv["timestamp"], unit="s")
df_ohlcv = df_ohlcv.set_index("datetime")
pd.to_datetime(df_ohlcv.index, utc=True)
return df_ohlcv
def ta_sma(self, df_ohlcv, ma_range=10):
# 移動平均(SMA:Simple Moving Average)の算出
df_key = 'SMA' + str(ma_range)
df_sma = pd.DataFrame(OrderedDict({
df_key: df_ohlcv['close'].rolling(ma_range).mean(),
}))
return df_sma
def ta_sma_plot(self, df_ohlcv, df_sma, ma_range=10, bar_no=120):
# 描画領域を作成
fig = plt.figure(figsize=(20,20))
ax = plt.subplot(1,1,1)
# チャート表示数にDataFrameをトリミング
df_ohlcv = df_ohlcv.iloc[-(bar_no)-1:]
df_sma = df_sma.iloc[-(bar_no)-1:]
# ロウソクチャートをプロット
mpf.candlestick2_ohlc(ax,
opens = df_ohlcv["open"],
highs = df_ohlcv["high"],
lows = df_ohlcv["low"],
closes = df_ohlcv["close"],
width = 0.8,
colorup = "#46AE74",
colordown = "#E4354A")
# x軸をdateにする
xdate = df_ohlcv.index
x_int_list = range(0, len(xdate), 6)
ax.set_xticks(x_int_list)
ax.set_xticklabels((xdate[int(x)].strftime('%d %H:%M') for x in x_int_list))
# x軸の整形
fig.autofmt_xdate(bottom=0.2, rotation=30, ha='right')
# グラフの両サイドをトリム
ax.set_xlim([-1, bar_no+1])
# 移動平均(SMA:Simple Moving Average)をプロット
df_sma.reset_index(inplace=True)
df_key = 'SMA' + str(ma_range)
ax.plot(df_sma[df_key], color='Blue', linewidth='1.0', label=df_key)
# グラフの描画
plt.show()
def main():
ma_range=10
ta = TechnicalAnalysis()
df_ohlcv = ta.df_ohlcv(time_range=60, bar_no=500)
df_sma = ta.ta_sma(df_ohlcv, ma_range=ma_range)
ta.ta_sma_plot(df_ohlcv, df_sma, ma_range=ma_range, bar_no=120)
if __name__ == '__main__':
main()
出力結果
ロウソクチャートの上側にブルーの単純移動平均線が描画されていることが確認できます。
今日のdot
単純移動平均線【SMA:Simple Moving Average】を求めるには『ローリング計算』を利用します。
- \(\displaystyle SMA_(t) = \frac{Close_(t)+Close_(t-1)+ ・・・ +Close_(t-n+1)}{n}\)
- \(SMA_(t)\):現時点の移動平均値
- \(Close\):終値
- \(t\):現時点
- \(n\):算出期間
Pythonではpandasの『rolling().mean()』メソッドで『ローリング計算』を行うのが簡単です。
sma = df_ohlcv['close'].rolling(10).mean()
『rolling().mean()』メソッドによる『ローリング計算』で算出した各ローソク足の移動平均値を線でつないでいくことで単純移動平均線を描画します。
サンプルコードでは極力わかりやすいように最低限のコードのみにしています。複数の単純移動平均線をプロットする事で短期、中期、長期といった単純移動平均線の1つのグラフ内に表示させることもできます。後は、matplotlibの設定を変更することで自由に見た目を整えることができます。
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