トークンが作り出す新たな経済圏 トークンエコノミーとは

  • 公開日:2018/03/23
  • 更新日:2018/10/19
  • 投稿者:n bit

今後の経済を変えていくと考えられている大きな流れの1つとして「トークンエコノミー」があります。インターネット、ビックデータ、AI、IOT、ブロックチェーン、仮想通貨など様々なテクノロジーを集約して経済圏を構築していきます。トークンエコノミーとはどのような特徴を持ち、どのような経済圏を構築していくと考えられているのかまとめました。

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トークンエコノミー(Token Economy)とは

トークンエコノミーとはトークンが作り出すエコノミー、トークンが作り出す新たな経済圏のことです。

トークンとは、プロジェクトやサービスなどの価値を数値化して表すものです。トークンについては下記のページでも詳しく解説していますのでご覧になってください。

エコノミーとは、経済や理財の事です。財貨の扱い方や運用に関することであり、ここで言う財貨とは価値を数値化したトークンを指します。

Note

経済

人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動。また、それらを通じて形成される社会関係。金銭のやりくり。

理財

財貨を有効に運用すること

財貨

金銭と品物。財物

出典:経済(ケイザイ)とは - コトバンク
出典:理財(リザイ)とは - コトバンク
出典:財貨(ザイカ)とは - コトバンク

そして、「トークンエコノミー(Token Economy)」は 「価値のインターネット(Internet of Value)」とも呼ばれていることからわかるように、基本的にはインターネット上での価値のやりとりに関して起こる経済の話です。

簡単にまとめると、「今保有している物やサービスをトークン化してインターネット上で価値の売買を行い新たな経済圏を構築していきましょう」と言うのがトークンエコノミーの趣旨です。

トークンエコノミーで、どのような経済圏が生まれるのか?

トークンエコノミーのシステムは簡単に構築することが可能です。そのためどのような発行者であってもアイディアさえあれば素晴らしいトークンエコノミーを実現できるのが特徴です。

ブロックチェーン技術と融合した経済圏

トークンが持つ1つの大きな特徴は簡単に発行することができるということです。プラットフォームとなる仮想通貨の通貨発行技術をそのまま利用し高度なプログラミングなどを使用しなくてもトークンを発行することができます。

トークンはブロックチェーンの技術に基づいて発行されています。そのため24時間365日いつでも利用することが可能で、またそのシステムを管理するための中央施設を設ける必要がありません。そのため維持管理コストも非常に安くシステムを運用することができます。

そして、ブロックチェーンの技術を採用しているため改ざん等が行われる心配もなく信頼性の高い経済圏を低いコストで簡単に構築することができるというのが最大のメリットとなります。

トークンの特徴 + ブロックチェーン技術の特徴で生まれるメリット

トークンの特徴
  • 既存の仮想通貨の技術をそのまま利用してトークンを発行することで、新たなビジネスやプロジェクトに付与するためのトークンが割と簡単に発行できる

+

ブロックチェーンの特徴
  • 24時間365日止まることなく使い続けることができる
  • 1度記録したデータを後から誰も改ざんできない
  • 特定の中央管理者がいなくてもシステムとデータの整合性を維持できる
そこから生まれるメリット
  • 誰でも簡単に常に稼働する信頼性が高く運用の維持コストが安いトークンエコノミーを構築できる

トークンは誰でも発行できる

トークンが持つもう一つの特徴は誰でも発行できるということです。トークンは決済通貨としての役割も持っていますが、今まで通貨は中央集権的な仕組みを持った中央銀行でないと発行することができませんでした。電子マネーのような通貨もありますがこちらも中央集権的な仕組みを持っていて、かつ資本力がある企業などが運用しないと基本的には発行することができません。

しかし、トークンに関しては発行者に対する制限が特にありません。日本の法律ではトークンエコノミーの運用方法に対して1部規制がありますが、発行に関しては特に規定がなく誰でも発行することができます。今のところ発行できると考えておいて大丈夫です。

また、ブロックチェーン技術を採用していることで非中央集権的で運用にかかるコストも非常に安いことも影響し、結果的に誰でも発行できる決済通貨となりました。

どのようなものでもトークン化できる

有形無形にかかわらずどのようなものでもトークン化することができます。とは言え、トークンエコノミーとしてトークンを流通させるためにはトークン化するそのものに価値がなければいけません。つまり、価値があると認められるものであればどのようなものでもトークン化できるといえます。

プロダクトやサービスだけではなく、今はデータや個々人の能力などにも注目が集まっています。トークンが登場したことによってこれまで価値を見える化しにくかったものが具体的に数値と言う尺度を使って見えるようになりました。

この流れはドンドンと加速しこれまで法定通貨では価値を見出しにくかったようなものもトークンによって正しい価値判断がされるようになり市場で流通するようになってきます。

なぜトークンであれば可能なのか?

今までできなかった理由として、第一に通常のシステムでは管理することが不可能だったということが挙げられます。

細かなデータなどを数多くやり取りした場合、それを管理するコストの方が圧倒的に高くなってしまいます。データのやり取りによって生まれる価値よりもそれによって消費されるコストの方が高くなるためビジネスとして成り立たなくなってしまいます。そのため誰も率先してそれを管理しようとしなかったのです。

例えば、あなたが持っている何かしらの技術を周りの人に提供した時必ずしもお金には変わらないと思います。携帯電話やパソコンなどに詳しい人であれば周りの人が購入するときに質問されたりすると思います。その返答内容に価値があったとしてもそれをビジネスとして管理してくれる人はいませんよね。

1回ずつ内容をヒアリングして記帳している手間が報酬と合わないからです。

今までは、ある程度まとまった大きさの定型化された価値でなければなかなか市場で流通させることが難しかったのです。

これらが実現できるようになった背景にはやはりブロックチェーン技術の恩恵にあります。無料〜低価格で発行することができ、かつ、かなり低いコストで運用でき信用性まで担保してくれます。これがどのようなものでも価値さえあればトークン化してトークンエコノミーを構築できるようになった理由です。

新しい資産価値の登場

このようにトークンの登場によりこれまで目を向けられなかった資産に対して価値がつくようになり市場に流通するようになります。その結果それらの資産価値を利用した新しいプロダクトやサービスが生まれ新しい市場が作られていきます。

個人の価値に対するトークン

VALUやタイムバンクなど個人そのものや、個人の時間に対して価値判断が行われトークンが発行できる様になっています。すばらしいプロジェクトへの取り組みやニーズの高いプロダクトの開発などを行っている個人に対して出資を行ったり、高い能力を持った人の時間をトークンで売買できます。

トークンエコノミーでは個人の持つあらゆる力をトークン化出来ます。クリエイティブ力、構成力、計算力、分析力、予測力、見通し力、真贋力、話力、味覚力、音感力、影響力、信頼力、美しさ、筋力、体力、etc、今まで資産価値に出来なかった力を発見しアイディア次第で可能性は無限大です。

NPO、企業、自治体、国家の価値に対するトークン

個人に限らず当然企業などの団体もトークンを発行することができます。企業が発行する場合は株式と役割が似てきますが、株式に比べ、ICO(株式であればIPO)や取引所に上場する敷居が非常に低くなります。今まではある程度の規模の大きな企業でないと株式を上場することに対してメリットがなく実行出来ませんでした。

Note

ICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング)とは

ICOとは(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング)の略で「トークンセール」とも呼ばれます。

企業が資金を集めるために自社の株などを発行して公開販売するIPO(InitialPublicOffering:イニシャル・パブリック・オファリング)と同じような仕組みを持ったものです。IPOでは出資金を得る代わりに株式を提供しますが、ICOでは出資金を得る代わりにトークンを提供します。

また、株式ではないNPOなどの団体でも株式と同じような役割を持ったトークンを発行することができます。NPOの活動は寄付金に頼る側面がありますが、寄付金の場合、寄付したユーザに対して後々の恩恵があまりありません。(本質的に寄付とはそういうものではありますが。)

そのためよほどそのNPOの活動に共感しない限り大きな寄付金を集める事は難しいのが現状です。しかしトークン化することで後々トークン購入者のユーザに対して報酬を返すことができます。そのため初期の資金なども集めやすく、活動自体も行いやすくなります。

自治体や国家でもトークンを発行することができます。そのエリアや地域に対してのファンは必ずいます。そのような人たちのニーズを取り入れ、ファンが喜ぶその地域がより良くなる提案を行いトークンを発行しファンに対してICOを行うといった手段が取れます。

地方の発展にはその自治体の税金が投入され開発が行われますが、自治体外のファンが求めるニーズとその自治体に生活する人たちのニーズにはズレがあります。トークンであればこのニーズのズレを吸収し新たなトークンエコノミーを構築しやすくなります。

国家に関してはエストニアコインが話題になりましたね。

このように未来の価値に対してユーザにトークンを使って出資してもらうことが可能になります。

情報やデータの価値に対するトークン

インターネットの登場や、あらゆるデータの電子化により、データ量が爆発的に増加しています。この流れはIOTやIOTデバイス、ビックデータ、AIなどの普及によりさらに加速していきます。

Note

IOT(Internet of Things)

様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みである。それによる社会の実現も指す。

出典:モノのインターネット - Wikipedia

小さな企業でも意外とデータはたくさんあるものです。レジ周りのPOSデータ、経理のデータ、ウェブサイトやECサイトを運営していればアクセス解析のデータや取引に関する顧客データなど多岐に渡ります。今列挙した項目を見てもわかるように資産になりそうのデータは以前からたくさんありました。それをうまく資産化して共有できないのには1つ大きな問題があったからです。

データを共有する上で1番鍵になってくるのはデータの複製問題です。デジタルデータは扱いやすい代わりに複製も簡単にできてしまいます。大事な資産となるデータを共有したところで複製されてしまっては資産価値がすぐに下がってしまいます。しかし、ブロックチェーンはデータの偽造や複製、改ざんを防止できます。持ち主を明確に特定し、そして、唯一のものとして確定することができます。

この様にブロックチェーンによって世界中のデータを安全につなぐことができるようになりますので、今までは第三者に共有するのが難しかったような情報やデータを資産化して共有し、代わりにトークンと言う形で報酬を得て有効活用したり、トークンで外部から共有されたデータを購入して次のマーケティングに活用したり、AIにリンクして自動化したりと言ったような用途も広がります。

ブロックチェーンやトークンによって今後データの持つ価値は飛躍的に上がってきます。医療機関や行政機関にも非常に多くのデータが眠っています。活用のアイディア次第では面白いトークンエコノミーがドンドンと生まれてくるでしょう。活用には非常に多くの種類があり今後通貨とともに紹介していきます。

正しい市場メカニズムが働くの経済圏

トークンのページにも書きましたが、参加するユーザが価値があると判断したものだけトークン化して運用することができます。すべての価値判断はユーザに委ねられることになり、ユーザの判断によって資金が集まるプロジェクトも決まります。

これはトークンエコノミーによって企業だけではなく自治体や国家に対しても同じことが言えます。ユーザの判断によって自治体等の財源の集まり方が左右されるようになると言うことです。

個人の生み出すトークンエコノミーにも同じことがいえます。企業内で社員のトークンエコノミーを構築し給料もトークン制で社員全員の判断によって各自の給料額面が決まるなんて日が来るのも近いかもしれませんね。

このように多くの人に信頼され、価値があると判断されたものに資金が集まるようになり、価値があると思われるものだけが生き残り、ないと判断されたものは自然と淘汰されて行きます。本来あるべき正しい市場メカニズムが働きやすい経済圏といえます。

トークンエコノミーで参加ユーザが得る報酬や恩恵の形

トークンエコノミーに参加することでユーザはそのトークンエコノミーごとの独自の報酬を得ることができます。

収益に対する配当

株式保有者に対する配当金と同じようなもので、出資先の企業が出した利益の1部を株主に対して還元してくれる制度です。成長企業の株式であれば銀行の利回りよりもよく購入者が集まるため企業側も資金を集めやすくなります。つまり経済としてプラスの循環が生まれやすい環境です。

しかし、残念ながら今現在トークンでは株式のような収益に対する配当に対して厳しい状況です。もう少し法整備が進むまでこちらの報酬制度は導入が難しいのではないかと思います。

割引や優遇制度

こちらも株式保有者に対するサービスと同じで、リリースされたサービスを安く利用できたり、プロダクトを安く購入できたりと言った各種割引制度や、トークン保有者限定の優待特典などです。

株では桐谷さんが優待で有名になりましたが、あのようにアイディア次第で保有顧客が喜ぶ様々な優待特典を用意することができます。結果トークンの購入者が増えます。

システムでトークンを使って決済し利用する

多くの場合は実際にリリースされるサービスやプロダクトが良いと思って出資したため利用してみたいと考えます。独自発行のトークンを使用して経済圏の利用者になると言うことです。

こちらは使用可能な範囲が、発行者が独自に定めた範囲内での利用になっているかどうかがポイントになります。その範囲を超えて不特定の者に対して利用できるようになってしまうと「仮想通貨交換業」のライセンスが必要になります。

システムの運用そのものに関わる配当

トークンの運用にはブロックチェーン技術を支えるためのノードになる参加者が必要です。独自発行されたトークンの経済圏の運営者側で参加すると言うことです。

報酬用にストックされているトークンを受け取ったり、システム利用者の手数料を報酬として受け取るようになります。

ノードやマスターノードに関する情報は下記のページでも詳しく解説していますのでよかったらご覧になってください。

トークンエコノミーが乱立

上記のような特徴があり、誰でも安く簡単に今まで埋もれていた新しい資産価値を利用してトークンエコノミーを構築することができます

そのため、大規模なトークンエコノミーだけではなく、かなり小規模なトークンエコノミーも作られることになり、非常に数多くのトークンエコノミーが乱立することになります。世の中にいくつもの独自の経済圏が発生するということです。

ここ1年近くの間でも相当の数のトークンが発行され実際にICOまで行われています。下記のグラフでは2017年4月から2018年1月の間でも124件ものICOが行われています。ICOまで行われていないトークンも含めると相当な数になります。

Tokens Sale 数

Note

ICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング)とは

ICOとは(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング)の略で「トークンセール」とも呼ばれます。

企業が資金を集めるために自社の株などを発行して公開販売するIPO(InitialPublicOffering:イニシャル・パブリック・オファリング)と同じような仕組みを持ったものです。IPOでは出資金を得る代わりに株式を提供しますが、ICOでは出資金を得る代わりにトークンを提供します。

今後も様々な規模、そして様々なものが流通するトークンエコノミーが生まれます。課題としてはこれらの経済圏をどのようにうまく繋いで運用するかと言うことです。こちらに関してはまた後日違う記事で書きますがこの課題に対して取り組みを行っている仮想通貨もあります。

今日のdot

トークンエコノミーとはトークンが作り出す新たな経済圏のことで「今保有している物やサービスをトークン化してインターネット上で価値の売買を行い新たな経済圏を構築していきましょう」と言うのが目的です。

誰でも簡単に常に稼働する信頼性が高く運用の維持コストが安いトークンエコノミーを構築できます。

トークンエコノミーの特徴

  • 誰でもトークンを発行し経済圏を作れる
  • 有形無形にかかわらず、どのようなものでも価値があればトークン化し経済圏を作れる
  • 新しい資産価値を持った経済圏を作れる

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